同時多発テロが起きてから5年。今日は朝から追悼式が行われ、黙祷が捧げられました。市内はいつもよりも緊張感が漂い、地下鉄の警備もいつになく厳しい。
去年の今日はまだNYに来たばかりで、テロが起きたその地に自分がいることさえがまだ不思議な感じでした。それはきっとテロが映像でしか見たことのない事件だったから。でも今年はなんだか違う。1年間この地で生活して、もっとテロが身近に感じるようになった気がします。“自分が今住んでいるNYでいつまたテロが起きてもおかしくない”と。5年前の今日を境に、NYに住んでいる人たちはそういう不安を抱えながら生活をせざるを得なくなったんだと思います。
同時多発テロは様々な形でアメリカ社会に多大な影響をもたらしましたが、私が今勉強しているPublic Health(公衆衛生学)においても例外ではありません。バイオテロリズムを含むテロリズムという緊急事態が起きた場合に起こりうる健康問題にどう備えるか、事後の人々の心身のケアをどうするか、市として州として国としてどういうシステムが必要か、等々。“被害を受けた人々”と一言に言っても、その範囲は広く、WTCから命からがら逃げ出した人、家族や友人を失った人、救出作業に関わった人、付近の住民、付近の学校に通っていた子ども達、倒壊していくWTCを目撃した人、と本当に多くの人々がテロの被害者なのです。
NY市には“
The World Trade Center Health Registry ”というテロによって何らかの被害を受けた人のための登録システムがあり、現在登録者は71,000名。このレジストリーを通し、定期的な追跡調査を行うことによりテロが人々の身体的精神的健康に与えた長期的な影響を解明し今後の対策に役立てると共に、登録者とコミュニケーションを継続し適切なケアやサービスを提供することを目的としています。
その一方で最近、救出作業や清掃作業に携わった人々に粉じんなどによる健康被害に対する補償を求めるデモが起きるなど(→
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このようなことが二度と起きないことをただただ祈るばかりです。
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